いつもお笑いサタケ道場を応援していただきありがとうございます。
今日は皆さんにとても重大なお話があります。
去年5月から闘病中であったお笑いサタケ道場の看板女優山本誠子が6月26日午前5時53分卵巣がんにより永眠いたしました。

約1年間の闘病生活は彼女自身にとって本当に辛く険しいものだったと思います。

その中にあって山本自身は私たち周りのものから見ても本当に強く前向きに生きていました。

この1年間の中で劇団の10年ぶりの本公演、そして大好きだった漫画うしおととらの舞台版にてキリオ役も演じさせていただきました。

彼女自身のブログに書いていましたが病気になってわかったこと家族の優しさだとか友人のありがたみ、芝居仲間の情の厚さと言うのをいつも口にしていました。
そしてそんな彼女をいつも応援してくれていたファンの皆様への感謝、彼女が口を開く時いつもそんな思いが溢れていました。

高校生の時に演劇に出会い同じ演劇部だった立部と北と約16年間同じ劇団で活動してきました。

僕が山本に最初に出会ったのは立部と一緒に僕がやっている古武道の道場に入門したのがきっかけでした。
男の理不尽に負けたくないと言う強い決意の元、小柄ながら一生懸命がんばり10年と言う長い歳月をかけて黒帯にまでなることができました。

彼女の性格は芯が強く一度こうと決めたらなかなか曲げない頑固な性格でした。
そして誰よりも真面目で努力をする人間でした。

彼女の葬儀はキリスト教式の葬儀でした。
日本で言うところのお通夜にあたる前夜式では実に100人以上の人が集まってくれました。
本来は身内だけの家族葬であったところをご家族の方にお願いしかつての共演者、学生時代の友人、実はゲーマーであった山本のネトゲ友達が見送ってくれました。

僕はその後客演先の本番を控えていたのですが本当にたまたまというか奇跡的な日程で前夜式と告別式に参加させていただきました。
実際は仕込みに参加出来なかったりご迷惑もおかけしましたが一部の方に事情をお話したらこっちは大丈夫だからお別れしてきてあげてとありがたい言葉をかけてもらいました。
僕以外の劇団員も同じように奇跡的なタイミングで全劇団員が別れに出席することができました。

本当はいつも応援してくださっている皆様にもすぐにお伝えすべきだったのですが僕たち自身も気持ちの整理がつかず、また大切な家族を失ったご家族の気持ちを考えるとSNSなどですぐに拡散すべきでないと思いました。

いろいろと話し合いをした結果、日を改めてこのタイミングでのお知らせとなりました。

皆様にお伝えすることが遅くなってしまったこと大変申し訳ありませんでした。

僕たち自身も約20年間苦楽を共にしてきた仲間を失った事は今でも信じられない気持ちと言いようのない悲しみがあります。
ただ、その気持ち以上に彼女への感謝の気持ちがあります。

最後、彼女の体がかなり弱っていった時、SNSなどで彼女への応援を皆さんにお願いしました。
たくさんの応援のメッセージ全て病室で頑張っていた山本にちゃんと伝えています。
彼女から返事が返せなかったこと本当に申し訳ありません。
それでも皆さんの応援のおかげで一生懸命食べられない食事を取ろうとしたり、飲みにくくなっていたお水も生きるために飲もうとしたり本当に健気に努力をしていました。

亡くなる最後の瞬間まで一生懸命がんばっていたとご家族に聞きました。
彼女のブログを読むと前向きに生きようとすること、本当に自分がやりたいことに全身全霊で取り組むこと、そして自分の命と向き合うこと。
生きるということの素晴らしさ、輝かしさ、本当にたくさんのことを教えてくれました。
この1年間、2つの公演の出演を果たし、また自分が出演する予定だった舞台、劇団員の舞台ほぼ全ての舞台を彼女は見てくれました。
どんなに体調が悪い時も見届けてくれていました。
もう僕たちが直接彼女の声を聞く事はできませんが、おそらくこれからも僕たちの姿を見届けてくれていると思います。

彼女が亡くなったと聞いた朝、立部と2人で彼女の顔を見に行っていました。
本当に驚くほど穏やかな顔で彼女の顔は微笑んでいました。
それは闘病中の姿ではなく、僕たちの知っている天使のような明るい微笑みでした。
今は僕たちもまた、応援してくださったみなさまも悲しみや寂しさで元気がなくなったりすると思いますが、どうか最後の最後まで力を出し切って天に召された彼女を褒めてあげて下さい。

今まで応援してくださったファンの皆様と共に彼女のお別れ会をいつか開催したいと思います。
まだ日程などは未定ですがその際はぜひ皆様ご参加ください。

最後に山本誠子がどうしても伝えたかった言葉、そして直接皆さんに伝えられなかった言葉。

みなさま、どんな時もどんな状態でも山本誠子という女優を愛して、応援してくださり本当にありがとうございました。

山本誠子へのメッセージなどありましたら、山本本人のブログにメッセージ用の記事を作りますのでそちらのコメント欄にお願いいたします!

http://masako-blog.owaraisatake.com/

お笑いサタケ道場 代表・佐竹仁
同劇団員一同

お笑いサタケ道場 第6回公演「SF野試合ガール~宇宙大戦争~」に際し、
代表の佐竹仁から、本公演についてごあいさついたします。



この度、お笑いサタケ道場本公演を10年ぶりに行う事になりました。
10年前、劇団としてはコンスタントに活動していた僕は自分の書きたい事を書き、やりたい事をやっていました。
お客様にも褒めていただいたりして素直に喜び、次はこの作品、その次はこの作品と夢を膨らませて劇団員にもそのことを話していました。

10年前「SOUL MATE」というお芝居をしました。
この作品は戦争中のとある国の少年兵たちのお話でした。
天才的な技術をもった若い戦闘機乗り達が互いに技術を競い、戦績をあげ、そして最後に知ったのは人の命を奪う事の恐ろしさ

最後に主人公のカール・ビュンテ(山本誠子)は大切な友と街の人を逃がすために一人で戦闘機に乗り、持てる力をすべて使い、自分の信念を曲げず空で命を落としました。
物語を語っていたのはその時、助けられた友でした。
おじいさんになっても彼はカールの事を思い、ベンチに座り、その思い出を少年に語り、空を見上げます。

その時のお芝居を観たお客様の一人が冗談交じりにこう言ってくれたそうです。(記憶違いもあるかも知れませんが・・・)
「とっても楽しかった。これで後1ヶ月は生きられる」
僕はとっても嬉しくなり、その後の芝居はと次の構想を考えました。
もっと沢山の人が元気になるような。
でもただ楽しいではなく何か大切なものを感じられる様な作品が作りたいと思いました。
あるお客様が「ここの芝居を見ると帰った後に人に優しくなれる」と言ってくれました。
そんな作品が作れたら、作り続けられたらどんなに幸せでしょうか。

「SOUL MATE」から数ヶ月後、あと1ヶ月は生きられると言ってくれたお客様が本番から2ヶ月過ぎた後にお亡くなりになったと聞かされました。

自分勝手な思いですが、次の作品は誰が観ても、どんな人が観ても、たとえその作品が最後に観る作品であっても、観て良かったと思える作品を作りたいと思いました。
そして10年間、ある答えを探して考え続けました。
プロット(あらすじの様なもの)は無数に生まれ、A4サイズで100ページを超えます。
どんな話かもほとんど出来ています。
それでも最後のピースが見つからず、本公演に踏み切れないまま10年が過ぎました。

当時を知ってくれている数少ないお客様と役者仲間は今でも本公演を切望してくれます。
本公演の佐竹の脚本とお笑いサタケ道場の劇団員の芝居が観たいと。

今回はもともとは本公演ではなく、特別公演を予定していました。
つまり本公演のつもりではなかったのですが、とある理由により、これは本公演以外考えられないと思いました。

僕が本公演の脚本を書くときには大きく一つの感情が動いています。
激しく。
それは”怒る”という感情です。
色々なものに、自分に、見えない何かに。
僕は決して優しいから優しい本を書くわけではありません。
激しく怒っているからそんな自分への答えとして本を書きます。

こんないいかたをするとプロ失格と言われてしまいますが、だからこその本公演なのです。
主催公演なのです。
誰にも文句は言えません。
伝えたいことをやりたいメンバーで作る。

実は長年お笑いサタケ道場で看板女優を務めて来た、山本誠子が現在大きな病気にかかり闘病生活を余儀なくされています。
今年の5月に病気が見つかり約5ヶ月必死に病気と闘っています。

仕事もやめ、すべての出演もキャンセルし、再び舞台に上がりたいという目的のために。
山本には、山本が戻るまでは劇団員全員が揃うまでは本公演はしないと伝えました。
もともとは「SF野試合ガール」も山本は声の出演のみと考えていました。
芝居馬鹿の山本に少しでも役者として何かさせたいとの思いもあり、そう伝えました。

数日後、彼女から出演したいと相談されました。
お医者さんからも許可をもらったと。

病気の症状に耐え、薬の副作用に苦しめられながら、自分が出演するはずだった舞台を悔しい思いをしながら客席から観ていた、普段あまり自分の意見を言わない山本がどうしても出たいと言いました。

僕は山本の病気の快復を信じていますし、彼女もそのために頑張っています。
けれども、これが最後かもしれないという覚悟をもって舞台にあがろうとしています。
山本誠子はこの後、治療に専念するためにしばらくはお休みすると思います。
すぐ戻ってこれるかもしれません。
大分時間がかかるかもしれません。

その事を考えた時、この公演を本公演として行いたいと思いました。

体調の事もあるので無理はさせられません。
それでもわくわくします。

10年間つくったプロットは、もともとは人間に恋をしたドブネズミの話でした。
孤独なドブネズミが身の丈に合わない大きな花を抱えて大好きな女の人に渡そうとするお話。
当然、「野試合ガール」とは全然違います。
でも「SF野試合ガール」にすべてそのプロットの大切な部分を注ぎました。
もうネズミの話はやりません。
花を野試合用ウレタン刀に持ち替え、愛してるの代わりにぶった切り、それでも愛を叫ぶ。

お笑いサタケ道場本公演
裏切るのは劇団名だけ。

劇団員と素敵な客演陣が一丸となって作る作品に期待せずにはいられません。
これを見逃したら本当にいつになるかわからないサプライズお笑いサタケ道場本公演。

皆さまのご来場、心よりお待ちしております!

お笑いサタケ道場 代表 佐竹 仁